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治療院デジタル実践室という名前でブログを書いていますが、今回はかなりアナログな話です。
私が治療院を始めた頃、集客の中心になったのはインターネットではなく、紙のチラシでした。
特に開業初期は、自分でチラシを持って町を歩き、ポストへ一枚ずつ入れていきました。
多い時期には、月に1万枚ほど配っていたこともあります。
今振り返ると、あれは単なる宣伝ではありませんでした。
チラシを配りながら、自分の治療院に患者さんが来てくれる地域を探していたのです。
現在の言葉を使えば「商圏調査」や「テストマーケティング」に近いのでしょう。
しかし当時の私は、そんな難しいことを考えていたわけではありません。
チラシを配る。
電話が来る。
どこの地域から来たのかを見る。
反応が良ければ、もう一度そこに配る。
ただ、それを繰り返していました。
今回は、私が実際に行っていた治療院のチラシ配布と、そこから商圏を見つけていった経験を書いてみます。
- 最初の開業は店舗ではなく出張専門だった
- 最初から「この地域がいい」と決めつけなかった
- 家を選んで配らない
- 人に会ったら、できるだけ直接渡した
- 1日500枚ほどを目安に配った
- 自分で配るか、ポスティング会社に頼むか
- 私の場合、1,000枚で3〜5人程度の反応があった
- 不思議なほど「来る地域」と「来ない地域」が分かれた
- 反応が良い地域にはもう一度配る
- 反応がない場所でも3回くらいは配ってみた
- 数か月後にチラシを持って来る人もいた
- 2003年、新宿では神奈川と同じようにはいかなかった
- 現在ならネットだけで集客できるのか
- チラシ1万枚で手に入ったのは患者さんだけではなかった
- 最初から正解の商圏を探す必要はない
- 次回|治療院のチラシを何度も作り直した理由
最初の開業は店舗ではなく出張専門だった
私は学校を卒業した後、最初から立派な治療院を構えたわけではありません。
まずは出張専門で始めました。
店舗がありませんから、患者さんのところへ自分で出向きます。
当時使っていたのは、主にオートバイや自転車でした。
そのため、自分が無理なく移動できる範囲を商圏として考える必要がありました。
川崎で開業した頃は、感覚として自転車やオートバイで20分程度で行ける範囲を一つの目安にしていました。
今ならGoogleマップを開けば距離も時間もすぐに分かります。
当時はそうではありません。
ゼンリンの住宅地図を購入して、住所や道路を確認しながら出張していました。
最初から「この地域がいい」と決めつけなかった
チラシを撒く時に、私は最初から「この町に集中しよう」と決めつけませんでした。
まず自分の拠点の周囲から配ります。
そこから少しずつ範囲を広げていきます。
最初は近所。
次はもう少し外側。
半径1km、2kmというような感覚で、徐々に広げていきました。
大きな道路沿いだけを歩くわけではありません。
細い道にも入ります。
住宅街の奥にも入ります。
抜け道も歩きます。
チラシを配りながら町を歩いていると、地図だけでは分からないことが見えてきます。
- この道は意外と近道になる
- この地域は坂が多い
- この住宅街は思ったより広い
- この道を抜けると隣町へすぐ出られる
- この辺りは集合住宅が多い
こうした土地勘は、出張専門で仕事をするうえで非常に役立ちました。
つまり私にとってチラシ配りは、
集客+商圏調査+出張のための土地勘づくり
でもあったのです。
家を選んで配らない
チラシ配りをしていると、つい「この家は来そうだ」「ここは来なさそうだ」と考えたくなります。
しかし、私の経験ではあまり意味がありませんでした。
どんな人がチラシを見て連絡してくるか、本当に分からないからです。
立派な家だから来るとも限りません。
普通のアパートだから来ないとも限りません。
だから私は、できるだけ家を選ばず配りました。
実際、ずいぶん離れたところから来院してくれた方に、
「どうやってうちを知ったんですか?」
と聞いたことがあります。
その方はマンションの清掃をしていて、ゴミ箱に捨てられていた私のチラシを見つけたというのです。
誰かにとって不要だったチラシが、別の人には必要な情報だったわけです。
これは非常に印象に残っています。
「捨てられたから失敗」というほど、チラシの反応は単純ではありません。
人に会ったら、できるだけ直接渡した
ポストへ入れるだけでなく、配っている途中で人に会ったら挨拶をして、可能なら直接渡しました。
直接渡したチラシをきっかけに来てくれた人もいます。
出張マッサージの場合、患者さんの側にも多少の不安があります。
どんな人が来るのか。
清潔な人なのか。
変な人ではないのか。
これは治療院へ行く場合でも同じでしょう。
どんな先生なのか分からない。
自分に合うのか分からない。
そうした不安があります。
チラシを直接渡して、一言でも挨拶していれば、それだけで相手に顔を覚えてもらえる場合があります。
紙一枚を配るというより、地域の人に自分の存在を知ってもらう行為でもありました。
1日500枚ほどを目安に配った
当時は、1日500枚程度を一つの目安として配っていました。
地域にもよりますが、都市部で集合住宅が多い場所なら、500枚はそれほど途方もない枚数ではありません。
慣れてくれば、1〜2時間程度で配れることもありました。
単純計算すると、
- 1日500枚
- 20日で1万枚
です。
毎日休まず配るわけではありませんから、1か月ほどかけて1万枚という感覚です。
もちろん、戸建て中心の地域とマンションの多い都心では、同じ時間でも配れる枚数は大きく違います。
したがって「1時間で必ず500枚配れる」という話ではありません。
これはあくまで私が実際に配っていた時の目安です。
自分で配るか、ポスティング会社に頼むか
私が開業した頃は、自分で配ることにかなり意味がありました。
町を歩けば道を覚えます。
住宅の多い場所も分かります。
出張先への近道も覚えます。
そして、どの地域から患者さんが来るのかを自分の感覚で確認できます。
特に開業したばかりで商圏がまだ分からない時期には、一度は自分で地域を歩いてみる価値があると思います。
ただし、1万枚を自分で配るとなると話は別です。
1日500枚としても20日かかります。
治療院が忙しくなれば、その1〜2時間をチラシ配りに使うのか、施術や別の仕事に使うのかを考える必要があります。
現在なら、
- 最初のテスト配布は自分で行う
- 反応の良い地域が分かったら配布を外注する
- 広い範囲へ配る時だけポスティング会社を使う
という方法もあります。
すべて自分でやるか、すべて業者に任せるかという二択ではありません。
自分で配ることで得られる情報と、自分の時間をどう使うかを考えて使い分けるのが現実的だと思います。
ポスティングを外注する場合は、配布可能な地域や料金を確認できるサービスもあります。
私の場合、1,000枚で3〜5人程度の反応があった
長い期間チラシを配っていると、だいたいの反応が分かってきました。
私の場合、時期やチラシの内容による差はありますが、
1,000枚配って3〜5人程度から反応がある
というのが一つの目安でした。
割合にすると約0.3〜0.5%です。
1万枚なら30〜50人程度になります。
実際に、1万枚程度配ることで、それくらいの反応が得られた時期がありました。
もちろん、これは私自身の当時の実績です。
地域、時代、料金、施術内容、チラシの内容、競合状況などによって結果は変わります。
現在チラシを1,000枚配れば必ず3〜5人来る、という意味ではありません。
ただ、一つ確実に言えるのは、数十枚、100枚程度を配っただけでは反応を判断するのは難しいということです。
ある程度まとまった枚数を配って初めて、地域ごとの違いが見えてきました。
不思議なほど「来る地域」と「来ない地域」が分かれた
チラシを繰り返し配っていると、とても不思議なことが起きます。
同じくらいの枚数を配っているのに、患者さんから連絡が来る地域と、ほとんど来ない地域に分かれてくるのです。
自宅から非常に近い地域なのに反応がない。
反対に、少し離れているのに何人も続けて連絡が来る。
そういうことが実際にありました。
地図上では同じ距離でも、人の生活圏は単純な円ではありません。
- 道路
- 坂
- 駅
- 商店街
- 住宅地のつながり
- 日常の移動方向
など、さまざまな条件があります。
だから商圏は、机の上だけで完全に決めるのは難しいと思います。
実際に告知して、人がどう動くかを見る。
これが一番分かりやすい方法でした。
反応が良い地域にはもう一度配る
一度一帯を配ったら、そこで終わりではありません。
どの地域から問い合わせがあったのかを見ます。
反応が良かったところには、もう一度配ります。
私が行っていたのは、だいたい次のような繰り返しです。
チラシを配る
↓
問い合わせを見る
↓
どの地域から来たか確認する
↓
反応の良い地域へもう一度配る
↓
再び結果を見る
現在ならPDCAなどと言うのでしょう。
当時はそんな言葉を意識していませんでした。
単純に、
「ここから患者さんが来た。それなら、もう一度ここに配ってみよう」
と考えただけです。
反応がない場所でも3回くらいは配ってみた
逆に、一度配って反応がなかった地域をすぐ捨てることもしませんでした。
私は同じ地域に2回、3回と配ってみることがありました。
最初はまったく連絡がなかったのに、何度か配るうちに来ることもあります。
人は一度チラシを見ただけでは、すぐ行動するとは限りません。
「前にもこのチラシを見たな」
「また入っているな」
と記憶に残り、ちょうど体がつらくなった時に思い出してくれる場合もあります。
ですから、
1回配って反応がない=その地域には需要がない
とは判断しませんでした。
数か月後にチラシを持って来る人もいた
紙のチラシには、インターネット広告とは少し違った時間の流れがあります。
チラシを配った翌日に電話が来ることもあります。
一方で、何週間、何か月もたってから連絡してくる人もいます。
チラシを捨てずに取っておいてくれる人がいるからです。
体がつらくなった時に、
「そういえば前にマッサージのチラシが入っていたな」
と思い出すのでしょう。
その意味では、チラシは配った瞬間だけで結果を判断できない媒体でした。
2003年、新宿では神奈川と同じようにはいかなかった
その後、私は2003年に新宿へ移りました。
神奈川県の比較的のんびりした地域から、人の多い新宿へ来たので、最初はこう思いました。
「これだけ人がいるなら、何とかなるだろう」
しかし、実際には何ともなりませんでした。
人が多いことと、自分の治療院へ患者さんが来てくれることは別問題だったのです。
神奈川ではチラシによって比較的うまく患者さんを集めることができていました。
そこで私は、新宿でも改めてチラシを使うことにしました。
ただし、地域が変われば反応も変わります。
神奈川でうまくいった方法をそのままコピーすれば成功する、というほど簡単ではありませんでした。
ここでもまた、配って、反応を見て、作り直すことになります。
現在ならネットだけで集客できるのか
現在は、ホームページがあります。
Googleマップがあります。
SNSがあります。
LINEもあります。
私自身、そうしたデジタルツールをかなり利用しています。
しかし開業直後、まだ自分の治療院の名前を誰も知らない時期には、アナログな方法にも強みがあります。
チラシなら、こちらから地域の人へ直接存在を知らせることができます。
検索してもらう必要がありません。
まだ治療院を探していない人にも情報を届けられます。
一方、ホームページやGoogleマップは「探している人」には非常に強い媒体です。
ですから私は、現在ならどちらか一方ではなく、
ネットと地域への直接的な告知を併用する
という考え方が現実的だと思います。
チラシ1万枚で手に入ったのは患者さんだけではなかった
1万枚のチラシを配るのは、決して楽な作業ではありません。
歩きます。
暑い日もあります。
寒い日もあります。
思ったほど反応がない日もあります。
それでも続けていると、患者さんが来るだけではなく、いろいろなものが見えてきます。
- 自分が無理なく出張できる距離
- 反応の良い地域
- 反応の弱い地域
- 町の道路や抜け道
- どの程度配れば反応が出るのか
- チラシのどこを直すべきか
つまり、1万枚配ったことで得た最大のものは、単に30人、50人の新規患者さんではありません。
「自分の治療院は、どこで、どのように患者さんを集められるのか」という実際のデータでした。
最初から正解の商圏を探す必要はない
これから治療院を始める人は、「どこに開業したらいいのか」「どの地域へ宣伝したらいいのか」と考えると思います。
もちろん事前調査は必要です。
しかし、最初から100%正しい答えを出そうとすると動けなくなります。
私自身、最初から正解が分かっていたわけではありません。
まず配りました。
そして患者さんの反応を見ました。
反応が良かったところをもう一度試しました。
反応が悪ければ別の場所も試しました。
そうやって少しずつ、自分の商圏が見えてきました。
これはチラシに限った話ではないと思います。
ホームページでも、SNSでも、広告でも同じです。
最初から完璧を目指すより、小さく試して、実際の反応から修正する。
30年以上治療院を運営してきましたが、この考え方は今でも変わっていません。
次回|治療院のチラシを何度も作り直した理由
チラシは、配ればそれで終わりではありません。
むしろ本当の作業は、配った後から始まります。
反応が悪ければタイトルを変える。
文字を大きくする。
情報を減らす。
料金の見せ方を変える。
色を変える。
私は治療院を続けながら、チラシを何度も作り直してきました。
新宿で治療院を始めてからも、記憶では20回ほど変更しています。
次回は、現在も残してある昔のチラシを見ながら、なぜチラシを何度も作り直したのか、反応を見るために何を変えてきたのかを書いてみたいと思います。

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