AIを使うほどメモが重要になる|ChatGPTと仕事をして分かった『外部記憶』

AI・自動化





AIは記憶装置じゃなかった


AIは記憶装置じゃなかった

AIは、プロジェクトに入れた資料なら、その中でずっと覚えていてくれるものだと思い込んでいました。

これが、最初の勘違いでした。

AIを使い始めた頃、ChatGPTのプロジェクト機能を使って、仕事に関係するPDFをかなり入れていました。

私は以前から、紙の資料をコピー機などでPDF化して保存していました。数十枚という量ではありません。かなりの資料が手元にありました。

そこで、

「このPDFをプロジェクトの中に入れておけば、このプロジェクトではずっと覚えていてくれるのではないか」

と思ったのです。

つまり、単にその場でPDFを読み込ませるという感覚ではありませんでした。

プロジェクトそのものを、自分専用の資料庫や記憶装置のように考えていたのです。

プロジェクトの中に関連資料をまとめておけば、その後は別のスレッドを開いても、同じプロジェクト内なら当然その資料を把握した状態で話が続く。

当時は、そんなイメージを持っていました。

ところが実際に使ってみると、私が想像していたほど単純ではありませんでした。

以前入れた資料について質問しても、こちらが期待している形で参照されないことがあります。

場合によっては、

「その資料をもう一度アップロードしてください」

というような流れになることもありました。

そこで初めて、

「プロジェクトに資料を入れておくこと」と、「AIがその内容を永久に記憶して、いつでも正確に取り出せること」は別なんだ

と気づきました。

今考えれば当然なのですが、最初はそこがよく分かっていませんでした。

AIは進化した。でも「全部覚えてくれる」とは考えない方がいい

以前に比べれば、AIの記憶機能はかなり進歩したと思います。

会話の傾向や、こちらの好み、ある程度の前提などを覚えてくれることもあります。

プロジェクトのように、関連する会話や資料をまとめて扱える仕組みも増えました。

それでも、

「過去に決めたことを全部正確に覚えている」

「どれが最新版なのかを自動的に判断してくれる」

とは考えない方がいいと思っています。

特に仕事では、途中で条件が変わります。

最初はAという方法で進めていた。

途中からBへ変更した。

その後、実際に試したらCになった。

こうなると、AIとの過去の会話にはAもBもCも残っています。

人間側が整理しないまま、

「前に決めた通りにやって」

と言っても、どの「前」なのか分からなくなります。

Gemini Notebookはかなり衝撃だった

この「AIは全部覚えてくれない」という問題を考えていたとき、私にとってかなり衝撃的だったのが、GoogleのNotebook系のAIでした。

自分で資料を集めてノートブックを作り、その資料を中心に質問できます。

これは普通のAIチャットとは少し違います。

何でも知っているAIに質問するというより、

「ここに入れた資料を読んで、その範囲を中心に答えてもらう」

という感覚です。

昔からGoogleドライブなどには、いろいろな資料を保存していました。

それらをAIが読みながら答えてくれる。

私が最初にChatGPTのプロジェクトへ期待していた「自分専用の資料庫にAIが付いている」という感覚にかなり近く、しばらくよく使っていました。

普通のGeminiそのものより、このノートブック型の仕組みの方が、私には衝撃が大きかったくらいです。

ただ、資料を増やせばいいわけでもなかった

Claudeでも、プロジェクトにPDFなどを入れて使ったことがあります。

関連資料をまとめておけば、かなり詳しく答えてくれます。

ところが、今度は資料を増やしすぎる問題が出てきました。

質問するたびに大量の資料を扱わせると、処理する情報量も増えます。

使っているうちに、

「やたらと使用量が減るな」

と感じることがありました。

そこで、

AIに資料をたくさん渡せば、それだけ賢くなる

という単純な話ではないことにも気づきました。

古い資料と新しい資料を一緒に入れていれば、どちらを基準にするのかも問題になります。

重要なのは資料の量ではなく、

今必要な情報を整理して渡すこと

なのだと思います。

AIとの仕事は、思った以上に情報が増える

AIと仕事をしていると、とにかく情報が増えます。

最初は、

「これはどういう意味ですか」

「どうやって設定するんですか」

という単純な質問から始まります。

ところが、だんだん、

「もっと簡単にできないか」

「この方法を自動化できないか」

「条件を少し変えたらどうなるか」

となってきます。

最初の案から、どんどん形が変わっていきます。

すると、

「現在使っている設定はどれだ?」

「このメモはもう古いのか?」

「前に決めた条件と違わないか?」

ということが起こります。

AIで作業速度が上がった分だけ、情報が増える速度も上がったのです。

これは使い始めるまで想像していませんでした。

長いチャットは、途中で引き継ぐようになった

ChatGPTでもClaudeでも、同じチャットで長時間やり取りしていると、私の使い方では少しずつ話がぼやけてくるように感じることがあります。

これは「何往復したら必ず性能が落ちる」という話ではありません。

ただ、私の場合は30往復くらいを一つの目安にしています。

長くなってきたら、そのチャットで、

「ここまでの経緯、決定事項、現在の状態、次にやることを、新しいチャットへ引き継げるように整理してください」

と頼みます。

そして、その引き継ぎ文を新しいチャットの最初に貼ります。

すると、かなり自然に話を続けることができます。

しかも、新しいチャットになると、答えがまた少しピリッとするように感じることがあります。

これも使っているうちに覚えた方法です。

そして考えてみると、この「引き継ぎ文」も結局はメモなのです。

うまくいかないときは、AIを替えることもある

AIを使ってプログラムを作っていたとき、忘れられない経験があります。

ある問題がなかなか解決せず、1時間くらい同じところを何度も修正していました。

AIは、

「もう少しです」

「必ずできるはずです」

という感じで励ましてくれます。

こちらも最初はそのまま続けていました。

ところが、何度修正しても動きません。

さすがに私も飽きてきました。

そこで、同じ問題を別のAIであるClaudeに投げてみました。

最初はClaudeも似たようなことを言いました。

そこで私は、

「それはさっき別のAIにも言われた。もう1時間やっているけれど、うまくいかない」

と伝えました。

すると、

「では、その方法はいったんやめましょう。最初から見直しましょう」

という方向に変わりました。

そこから全体を見直してもらったところ、10分ほどで問題が解決しました。

これはかなり印象に残っています。

AIも同じところをぐるぐる回ることがある

この経験から、私のAIの使い方も変わりました。

何度か同じ修正をして、それでもうまくいかなかったら、

「この方法そのものが間違っていないか、いったん立ち止まって考え直して」

と指示するようになりました。

それでもうまくいかなければ、違うAIに渡します。

そのときも、最初から全部説明するのではなく、

「何を作ろうとしているのか」

「ここまで何を試したのか」

「何がうまくいかなかったのか」

を元のAIに整理してもらい、引き継ぎ文として新しいAIに渡します。

すると、意外とうまくいくことがあります。

AIを替えると、違う方向から問題を見ることがあるのです。

人間でも同じだと思います。

一人で考えて行き詰まったとき、別の人に見てもらうと、

「そもそも、なぜこの方法でやっているの?」

と言われて解決することがあります。

AIでも同じようなことが起こります。

AのAIで作り、BのAIで検証する

プログラムについても、一つのAIだけで完成させる必要はないと考えるようになりました。

たとえば、

AというAIにプログラムを作ってもらう。

それをBというAIに、

「このプログラムに問題がないか確認してください」

と見てもらう。

すると、

「ここは直した方がいい」

と修正されて戻ってくることがあります。

逆の場合もあります。

AIによって得意不得意や、物事の見方が少し違うように感じます。

どれか一つが絶対に一番というより、

複数のAIを違う役割で使う方がうまくいくことがある

というのが、今の私の感覚です。

そして、AIを替えるときにも必要になるのが、やはり記録です。

どこまで作ったのか。

何を試したのか。

何が失敗したのか。

現在の最新版はどれなのか。

これが整理されていなければ、別のAIへうまく引き継げません。

「会話」と「記録」は別物だと分かった

ここでようやく、

AIとの会話と、残しておく記録は別物だ

と考えるようになりました。

AIとの会話は、考えるためには非常に便利です。

壁打ちをして、

「この方法はどうだろう」

「いや、こっちの方がいい」

「それなら、この条件を追加しよう」

と考えを進められます。

ただし、その会話の中には採用しなかった案も残っています。

失敗した方法も残っています。

途中で変更した古い設定もあります。

それを全部「記録」として扱うと、後から分からなくなります。

そこで、会話がある程度進んだら、

・最終的に何を決めたのか
・現在使っている設定
・何を試したのか
・何が失敗したのか
・次に何をするのか

を別に残しておく必要が出てきました。

結局、必要になったのが「第二の脳」だった

あるときYouTubeなどを見ていると、

「メモ帳をAIに読み込ませて、第二の脳として使う」

という考え方を知りました。

これは面白いと思いました。

AIそのものに全部覚えてもらう必要はない。

自分で管理しているメモを外部記憶として持ち、必要なときにAIへ読ませればいい。

その方が理にかなっています。

そこで私も、散らかっていたメモを整理し始めました。

現在使っているのがObsidianというメモアプリです。

CodexやClaude Codeで、素人でも「第二の脳」を整理できるようになった

さらに時代が変わったと感じたのが、CodexやClaude Codeのような、自分でファイルを扱えるAIが出てきたことです。

私はプログラマーではありません。

フォルダを細かく分類するのも得意ではありません。

ところが、

「このメモ帳をAIが使いやすいように整理したい」

「第二の脳のようなものを作りたい」

と相談すると、AIが実際のファイルを見ながら整理を手伝ってくれるようになりました。

重複しているメモを見つける。

古い情報と新しい情報を分ける。

関連する内容をまとめる。

必要なら最新版のメモを作る。

こういうことまで、少しずつAIに手伝わせられるようになりました。

数年前なら、自分でプログラムを組める人でなければ難しかったことだと思います。

これはかなり大きな変化です。

AIの記憶ではなく、自分の記憶庫を持つ

最近は、考え方がかなり変わりました。

以前は、

AIに覚えてもらう

と考えていました。

今は、

自分で記憶庫を持ち、必要なときにAIに読ませる

と考えています。

この違いはかなり大きいと思います。

AIは変わります。

ChatGPTを使うこともあれば、Claudeを使うこともあります。

Geminiを使った方が便利なこともあります。

将来、別のAIを使うかもしれません。

しかし、自分の記録そのものまで特定のAIの中に閉じ込めてしまう必要はありません。

自分のメモが手元にあれば、その時に一番適しているAIへ渡せます。

AIは「記憶装置」より「思考の相手」

最初の私は、AIを巨大な記憶装置のように考えていました。

資料を入れておけば覚えてくれる。

過去の会話も覚えてくれる。

自分のこともだんだん理解してくれる。

しかし、使っているうちに考え方が変わりました。

AIは、すべてを保存しておく倉庫というより、

考える相手
整理してくれる相手
違う視点を出してくれる相手

として使った方がいい。

そして記録そのものは、自分で持っておく。

その方が、今のところ私には合っています。

AIを使う側も、少しずつ上手になる

AIを使い始めた頃は、ただ質問していました。

そしてAIの答えをそのまま聞いていました。

今は少し違います。

うまくいかなければ、

「同じことを繰り返していないか確認して」

と言います。

それでもだめなら、

「いったん今の方法を捨てて、別の方法を考えて」

と言います。

さらにだめなら、引き継ぎ文を作らせて別のAIへ持っていきます。

一つのAIに作らせて、別のAIに検証させることもあります。

そして重要な結果はメモへ戻します。

AIが進化しているのはもちろんですが、使っている人間の方も少しずつ使い方を覚えていくのだと思います。

まとめ

AIを使えば、人間が覚える必要はなくなる。

最初はそう思っていました。

特に、プロジェクトにPDFを入れておけば、そのプロジェクトの中ではずっと覚えていてくれると思っていました。

ところが実際には、AIを使えるようになるほど、できることが増えました。

できることが増えると、会話も資料もプログラムもメモも増えます。

そして情報が増えるほど、

何が最新なのか
何を決めたのか
何を失敗したのか

を管理する必要が出てきました。

AIとの長い会話は引き継ぎ文にまとめる。

同じ方法で何度も失敗したら、一度立ち止まらせる。

必要なら別のAIへ渡して、違う視点から見てもらう。

一つのAIで作り、別のAIに検証してもらう。

そして最終的に決まったことは、自分のメモへ戻しておく。

現在、私はObsidianを使って、この外部記憶を少しずつ作っています。

まだ完成していません。

むしろ、作りながら運用方法も変わっています。

ただ、一つだけはかなりはっきりしてきました。

AIをたくさん使う人ほど、自分で管理できる「外部記憶」が重要になる。

AIに全部覚えてもらうのではなく、自分の記録を持ち、その記録をAIと一緒に使う。

今の私は、その方法が一番現実的なのではないかと思っています。


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