パソコン、壊れ続けた30年 ― 平成のMacから令和のAI時代まで

ITツール・トラブル

パソコンは、壊れるものだと思っています。

これまで何台のパソコンを買い替えてきたか、正直よく覚えていません。デスクトップが壊れ、ノートが壊れ、ハードディスクが壊れ、その都度買い替えてきました。今回は、その「壊れた記憶」を時系列で振り返ってみようと思います。単なる思い出話ではなく、これから治療院を運営する人たちに向けた「パソコン選びと付き合い方」のヒントになればと思います。

平成4年、Appleが潰れるかもしれなかった頃のMac

私が川崎で開業したのは平成2年(1990年)のことです。その2年後、平成4年(1992年)に初めて買ったパソコンがMacでした。

今でこそAppleは世界的な大企業ですが、当時は違いました。スティーブ・ジョブズがまだAppleに戻っていない時代で、「Appleはこのまま潰れるかもしれない」という噂が業界内でまことしやかに囁かれていた時期です。そんな中で選んだのがMacでした。

Windows98SEとの出会い ― 「フリーズしない」ことへの驚き

Macを使い始めて数年が経った頃、知り合いにパソコンを組み立ててもらう機会がありました。搭載されていたOSはWindows98のセカンドエディションです。

使ってみて驚いたのは、その安定性でした。「フリーズしない」というのは、当時の私にとって衝撃でした。Macを使っていた頃は、作業中に突然固まって動かなくなることが珍しくなかったからです。それに比べてWindows98SEは、拍子抜けするほど快適に動き続けました。

「Windowsは不安定、Macは安定している」という世間のイメージとは真逆の体験を、この時にしています。この経験は、後々「OSや機種の評判を鵜呑みにしない」という私の姿勢の原点になりました。

新宿移転後もWindowsを使い続けた日々

平成15年(2003年)、新宿へ移転して開業しました。このタイミングでパソコンを買い替える人も多いと思いますが、私はそのままWindowsを使い続けることにしました。

理由は単純で、Windows98SEでの体験があまりに快適だったからです。安定して動くパソコンに慣れてしまうと、わざわざ環境を変える必要を感じません。

ただ、2003年から2006年にかけては、1年に1回のペースで大きなトラブルに見舞われるようになりました。この頃から、「パソコンは2年に1回くらいは買い替える前提でいたほうがいい」という認識を持つようになります。「安定して使えていた」という感覚と、「実は毎年何かしら壊れていた」という現実が、同時に存在していた時期でした。

2006年、Dellデスクトップ ― ファンが止まった日

2006年、Dellのデスクトップパソコンを購入しました。当時、画像の編集作業を頻繁に行うようになっており、パソコンにかかる負荷はそれまでとは比べ物にならないほど大きくなっていました。

しばらく使っているうちに、パソコンからブンブンとファンの音が常に聞こえるようになりました。今思えば、それは負荷に耐えかねた本体からの悲鳴だったのだと思います。そして最終的に、そのファンが完全に止まってしまいました。

冷却ファンが止まったパソコンがどうなるかは、想像に難くありません。熱がこもり、動作が不安定になり、やがて使い物にならなくなっていきました。「画像編集をするなら、それに見合ったスペックと冷却性能が必要だ」ということを、身をもって学んだ最初の出来事でした。

2007年、重なった不調の末の買い替え

2006年のファン故障をなんとかやり過ごしたものの、翌2007年、パソコンは再び不調に見舞われます。ちょうど同じ時期に歯医者の問題も抱えていて、体調面でも余裕がない中でのパソコントラブルでした。

一度壊れかけたパソコンは、だましだまし使ってもいずれ限界が来ます。再インストールなども試みましたが、結局のところ抜本的な解決にはならず、最終的には買い替えという決断に至りました。

このとき強く感じたのは、「壊れかけのパソコンを引っ張り続けるコスト」です。修理や再インストールに費やす時間と労力を考えると、早い段階で見切りをつけて買い替えたほうが、結果的に負担が少なかったのかもしれません。この経験は、後の「パソコンは壊れる前提で付き合う」という考え方につながっていきます。

バックアップの必要性に気づく ― 外付けドライブとの付き合い

パソコンが壊れるたびに痛感したのは、「バックアップを取っていなければ、壊れた瞬間にすべてのデータが失われる」という当たり前の事実でした。この時期になって、ようやく外付けドライブを導入することにしました。

最初は、使わなくなった古いハードディスクを外付け化して活用していました。しかし、そのハードディスク自体もやがて故障します。バックアップ用のドライブが壊れては意味がないので、その都度新しいものを買い直すことになりました。結果として、数年に1回のペースで外付けドライブを買い替えるという習慣がつきました。

「本体が壊れる」「バックアップ用のドライブも壊れる」という二重のリスクを経験して、データを守るということの難しさと大切さを実感した時期です。

新宿での自作PC挑戦 ― マザーボードが熱で壊れた話

それまでは既製品のパソコンを買い続けていましたが、あるとき「パソコンはレゴブロックのように自分で組み立てられるものだ」ということに気づきました。そこで新宿に来てから、ケースとマザーボードを自分で選んで購入し、初めて自作PCに挑戦することにしました。

選んだマザーボードは、ゲーマー向けのハイスペックなものでした。処理能力は高かったのですが、その分発熱もすさまじく、当時の環境ではその熱量に十分対応しきれていませんでした。

ちょうどこの頃、動画編集も手がけるようになっており、パソコンにかかる負荷はさらに増していました。高負荷な作業と、発熱の大きいマザーボードという組み合わせは相性が悪く、結局このマザーボードは途中で壊れてしまいました。

「スペックが高ければいい」というわけではなく、発熱と冷却のバランスまで考えなければ、宝の持ち腐れどころか故障の原因になる。自作PCに挑戦したからこそ得られた、実践的な学びでした。

XPから7・8への移行タイミングで、再びMacへ

自作PCのマザーボード故障を経てもなお、しばらくはWindows環境を使い続けていました。しかし、OSがWindows XPから7、そして8へと移行していく時期にさしかかったとき、「またOSが大きく変わる」というタイミングで、再びMacへ乗り換えることを決めました。

Windowsは数年おきにOSが大きく刷新され、そのたびに買い替えや環境の作り直しを迫られます。この「OSのサイクルに振り回される感覚」に、いい加減疲れていたのだと思います。

当時、世間には「Macはフリーズしない」「Windowsより快適」という、ある種の神話のようなイメージがありました。実際に私自身、若い頃にWindows2000を使っていて驚くほど安定していた経験があったので、この神話を鵜呑みにしていたわけではありません。それでも、OSサイクルの短さに疲れていたこともあり、もう一度Macを試してみることにしました。

Snow Leopardのフリーズと、Evernoteとの出会い

再びMacに乗り換えたとき使っていたのが、Snow Leopardというバージョンでした。ところが、蓋を開けてみると現実は「神話」通りにはいきませんでした。1日に1回はフリーズするという状態が続いたのです。

かつてWindows2000で経験した安定性とは正反対で、正直なところ「Macはフリーズしない」という話は、少なくとも私の環境では成り立ちませんでした。

特に困ったのは、文章を書いている最中にフリーズすることでした。保存する前にフリーズすれば、それまで書いていたテキストはすべて水の泡です。何度もこの経験を繰り返すうちに、ようやく「自動保存されるメモアプリを使えばいい」ということに気づきました。そこで導入したのが、Evernoteです。

書いている端から自動的に保存されるという安心感は、それまでの「フリーズへの恐怖」を大きく和らげてくれました。パソコン本体の安定性がどうであれ、データを失わない仕組みを別に用意しておくことの大切さを学んだ出来事です。

壊れる前提で付き合う、という結論

こうして振り返ってみると、平成4年のMacから始まり、Windows98SE、Dellデスクトップ、自作PC、そして再びMacへと、パソコン選びは行きつ戻りつの連続でした。ファンが壊れ、ハードディスクが壊れ、マザーボードが熱で壊れ、OSに振り回され、フリーズでデータを失う。振り返れば、トラブルのない年の方が少なかったかもしれません。

この一連の経験から、今の私が治療院運営者に伝えたいことは、次の3つです。

1. パソコンは「壊れるもの」だと最初から思っておく
2〜3年に一度は何かしらのトラブルが起きる、というくらいの心構えでいたほうが、いざという時に慌てずに済みます。壊れにくい機種を選ぶこと自体も、立派な投資です。

2. OSのサイクルに振り回されない機種を選ぶ
Windowsは数年おきに大きな変化があり、そのたびに買い替えや環境構築を迫られます。私自身は、7〜8年使い続けられるMacに落ち着きました。どちらが優れているという話ではなく、「自分の仕事のペースに合った買い替えサイクルの機種を選ぶ」という視点が大切だと思います。

3. データを守る仕組みは、本体の外に持っておく
外付けドライブも、クラウドメモも、本体が壊れることを前提にした保険です。Evernoteに出会ってからは、「書いている途中にすべて消える」という恐怖から解放されました。

そして今、AIという新しい技術が急速に広がっている時代です。古いパソコンのまま無理に使い続けることには、以前にも増してリスクがあると感じています。壊れていなくても、環境ごと新しくしていく判断が必要な時期に来ているのかもしれません。

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