鍼灸を始めて、もう28年以上が経ちます。
私たちの時代は、2年生の終わりにまず按摩・マッサージ・指圧の資格を取ることができました。生活の糧として技術を身につけ、手で人を癒やすことから臨床をスタートしました。その後、鍼灸の資格は卒業間際に取得する、そんな流れが一般的でした。
学校では学ばない「気」
当時、そして今もそうかもしれませんが、学校で「気功の気」を体系的に学ぶことはありません。なぜなら「気」は目に見えず、誰もが同じように感じられるものではないからです。ほとんどが口伝、師から弟子へと直接伝わる世界でした。
実際、気感のある人であれば、少しのトレーニングで身につくことも珍しくありません。けれど、一定数の人は最後まで実感を持てないまま進むこともあります。そのため興味を持たずに終わってしまう人も少なくないようです。
「気」を使うか使わないか
ただ、施術において「気を使うやり方」と「使わないやり方」では、受け手の印象が大きく違います。これは私の臨床経験からもはっきり感じるところです。後輩にどう伝えたらよいか、今も試行錯誤を続けています。
言葉で説明するよりも、体感の場を設けることが一番の近道かもしれません。手をかざして温感や引力・反発を試す、施術中の反応を観察する。そんな小さな実験の積み重ねで、自分自身の感覚に気づいていくのです。
ヨーガで開かれる感覚
最近、私はヨーガを学び始めました。もう3ヶ月ほど経ちますが、面白いほど身体の感覚が変わっていくのを感じます。呼吸、姿勢、内側の気づき…。
「鍼灸師はヨーガを学ぶべきだ」と、今更ながら強く思っています。
鍼灸とヨーガ。異なる伝統のようでいて、どちらも「気」と身体を結び直す道。自分自身の変化を通してこそ、後輩に伝えられることがあるのだと実感しています。












