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失明したラットに光を感じる能力を回復させることに、東北大学の研究チームが成功しました。網膜色素変性症など光を感じる視細胞が死滅する病気の新たな治療法につながる成果として注目されています。
研究を主導したのは東北大学大学院医学系研究科の富田浩史准教授(眼科学)。チームは、緑藻クラミドモナスが持つ「光を感知するタンパク質をつくる遺伝子」に着目しました。この遺伝子を「アデノ随伴ウイルス」に組み込み、視細胞を失った失明ラット20匹余りの眼球に注入したところ、約2か月後には網膜の細胞の約3割に光応答が見られるようになり、脳波反応でも光を感知していることが確認されました。
富田准教授は「遺伝子治療は慎重な意見も根強いが、生活の質に直結する失明に対しては受け入れられつつある。今後は人に近いサルでの検証を進めたい」と話しています。
今回の成果は、名古屋市で開かれる日本再生医療学会で発表されます。実用化に至るには安全性や効果を確認する動物実験を経て臨床試験が必要ですが、これまで治療法が乏しかった患者にとって大きな希望となりそうです。