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夜中に目が冴えてしまい、明日返す予定のGyao Nextの映画「タッチ・オブ・スパイス」を観ました。
舞台はイスタンブール。スパイス店を営む祖父が、香辛料の効能とともに人生哲学を語る姿が印象的でした。主人公はその祖父の屋根裏部屋で勉強したり、友だちと遊んだり、そして天文学をスパイスにたとえて教わったりする。
けれど、1960年代のキプロス紛争で状況は一変。ギリシャ国籍を持つ一家は、トルコから強制的に退去させられてしまいます。残された祖父と、移り住む家族。そこで描かれる「食卓の記憶」がとにかく美しい。
料理、人生、そして天体。
見えないけれど確かにあるもの。星も人生もスパイスも、存在の仕方は似ているのかもしれません。
最後に訪れる初恋の人との再会シーン。ほろ苦さを含んだ余韻は、まるでシナモンの隠し味のようでした。隠喩に満ちた、心地よい一本。
――観終わった後、しみじみ「星は不思議、人生も不思議」と思わずにはいられませんでした。