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(中沢新一『哲学の東北』より)
昨日、町田の古本屋さんで中沢新一の『哲学の東北』を見つけた。
きっかけは山田詠美さんとの対談集『ファンダメンタルなふたり』。あまりに面白くて、中沢の名前を見つけるとつい手に取ってしまった。
この本は、東北を題材に宮沢賢治と修験について語ったもの。まだ読みはじめだが、いきなり「賢治とエロス」という切り口が示されていて驚かされた。今までの自分にはなかった視点で、とても新鮮だ。
「春と修羅」はエロチックな詩だという。確かに読み返してみると、強烈な生命力が渦巻いているのを感じる。
さらに感動的だったのは、仏教徒としての「贈り物」の思想が冒頭に語られていること。
「見返りも求めない贈り物は、魂と魂のあいだにエロティックな通路をつくりだす」
自然からの恵みを、見返りを考えずに与え続ける。そこにこそ賢治の精神がある。まさに「春と修羅」と重なり合う世界観だと思う。
振り返ると、自分は「教科書的に読んでいた」だけで、実際には何も見ていなかったのだと気づかされた。
宮沢賢治、やはり恐るべし。
(引用:『春と修羅』より抜粋)