ひとり治療院にLINE公式アカウントは必要なのか。
2年以上実際に使ってきた立場から言えば、私は「絶対に必要」とまでは思いません。ただ、患者さんとの連絡、予約、休診日の案内などを一人でこなしている治療院にとっては、かなり相性の良いツールだと思っています。
特に電話だけで予約を受けている治療院では、LINEを加えるだけでも受付業務の負担はかなり変わります。
- LINEは東日本大震災をきっかけに生まれた
- あれほど使われたSkypeも終了した
- LINE公式アカウントを使い始めて2年以上
- 一番便利なのはメッセージの一斉配信
- 患者さんとのチャットが電話の代わりになる
- 無料プランと有料プランの違い
- 覚えやすいLINE IDに変更することもできる
- ショップカードを紙のポイントカード代わりに使える
- クーポンも簡単に発行できる
- ひとり治療院ではリッチメニューがかなり便利
- リッチメニュー作成こそAIを使うと楽
- 属性を絞ってメッセージを送ることもできる
- 開封率などを確認できるのも面白い
- 「LINE BLOG」と「LINE VOOM」は別物
- 私がLINE導入当初にやってしまった失敗
- LINE公式アカウントは「導入」より「運用」が大切
- ひとり治療院なら、まず無料で使ってみればいい
LINEは東日本大震災をきっかけに生まれた
LINEを見ていると、「時代が変わったな」と感じます。
実はLINEそのものが、2011年3月の東日本大震災をきっかけに開発されたサービスです。震災時に電話がつながりにくく、家族や友人と連絡が取れなかった経験から、「大切な人と連絡を取れる手段が必要だ」という考えで開発され、2011年6月23日にサービスが始まりました。
私自身も東日本大震災のとき、電話がつながりにくい、あるいはまったくつながらないという経験をしました。一方で、私の周囲ではインターネットを使った連絡手段は比較的使えたという印象がありました。
ただし、その頃に私が使っていたのはLINEではなくSkypeでした。
あれほど使われたSkypeも終了した
当時はSkypeをかなり使っていました。
初期のインターネット通話は今ほど快適ではなく、声が少し遅れて聞こえるなど、音声の遅延を感じることもありました。それでも技術の進歩は速く、しばらくすると普通の電話に近い感覚で使えるようになっていきました。
Skypeは2011年にMicrosoftに買収され、その後も長く利用されましたが、個人向けSkypeは2025年5月5日にサービスを終了しました。
一時代を築いたサービスでもなくなることがあります。その一方でLINEは日本の日常生活に深く入り込み、今では患者さんとの連絡手段としても無視できない存在になっています。
こういう変化を30年以上治療院をやりながら見ていると、受付方法も固定してはいけないのだと思います。
LINE公式アカウントを使い始めて2年以上
私の治療院では、LINE公式アカウントを使い始めて2年以上になります。
以前は「LINE@」という名称でしたが、現在は「LINE公式アカウント」に統合されています。
使ってみて最初に便利だと思ったのは、スマートフォンだけではなく、パソコンのWeb管理画面からも確認・操作できることです。
ひとり治療院の場合、施術中はスマートフォンを触れないことも多いため、受付のパソコンから確認できるのはかなり便利です。
一番便利なのはメッセージの一斉配信
私が一番便利だと思っているのが、患者さんへの一斉配信です。
私の治療院では月に1回程度、「今月の休診日」などのお知らせを配信しています。
現在のLINE公式アカウントには無料の「コミュニケーションプラン」があり、月200通までメッセージを配信できます。
ここは少し分かりにくいところですが、「200人まで送れる」という意味ではありません。
基本的には、
配信した人数 × 配信回数 = メッセージ通数
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば友だちが150人いる状態で全員に1回配信すると150通を消費します。そのため、私のように月1回程度のお知らせを送る小規模な治療院なら、友だち数がそれほど多くないうちは無料プランでも十分使えます。
なお、患者さん一人ひとりと行うLINEチャットの送受信は、この200通には含まれません。これは治療院で使ううえではかなり重要なポイントです。
患者さんとのチャットが電話の代わりになる
LINE公式アカウントでは、患者さんと個別にチャットすることができます。
「明日の○時は空いていますか?」
「少し遅れそうです」
「今日は鍼とマッサージ、どちらがいいでしょうか」
といった連絡を、電話を使わずにやり取りできます。
ひとりで施術していると、治療中に電話が鳴っても出られないことがあります。その点、LINEなら施術が終わってから返信できます。
患者さん側も、営業時間をあまり気にせず連絡できるという利点があります。
無料プランと有料プランの違い
2026年8月現在、LINE公式アカウントには主に3つの料金プランがあります。
- コミュニケーションプラン:月額0円・月200通
- ライトプラン:月額5,000円(税別)・月5,000通
- スタンダードプラン:月額15,000円(税別)・月30,000通まで含み、それを超える配信も従量課金で可能
ひとり治療院の場合、最初から有料プランにする必要はあまりないと思います。
まず無料で始めて、友だち数や配信回数が増えて200通では足りなくなってから有料プランを考えれば十分でしょう。
覚えやすいLINE IDに変更することもできる
LINE公式アカウントを作成すると、最初は英数字がランダムに並んだ「ベーシックID」が発行されます。
別料金を支払うと「プレミアムID」を取得でき、自分で覚えやすい文字列を指定できます。
2026年8月現在、Web版管理画面などから購入する場合は月額100円または年額1,200円(税別)です。
以前、私はこれを年間500円程度だったように記憶していましたが、現在の料金を確認すると年額1,200円でした。こういうサービスは料金や仕様が変わるので、記事を書くときには確認が必要だと改めて感じます。
小さな治療院ならランダムなIDのままでも困らないと思いますが、チラシや名刺などに載せるのであれば、覚えやすいIDにしておくメリットはあります。
ショップカードを紙のポイントカード代わりに使える
もう一つ便利なのが「ショップカード」です。
LINE上にポイントカードを作り、QRコードなどを使ってポイントを付与できます。
私の治療院でも以前は紙のポイントカードを使っていましたが、現在は少しずつLINEのショップカードへ移行しています。
紙のカードは忘れたり、なくしたりすることがありますが、LINEならスマートフォンを持っていれば使えます。
ただし、高齢の患者さんなどスマートフォンの操作が苦手な方もいます。そのため、すべてを急にLINEへ移行するより、紙とLINEをしばらく併用した方が現実的だと思います。
クーポンも簡単に発行できる
LINE公式アカウントではクーポンも作成できます。
飲食店ほど頻繁に使う機能ではありませんが、治療院でもキャンペーンやイベントなどを行う場合には利用できます。
ただし、治療院の場合は値引きを頻繁に行うことが必ずしも良いとは限りません。
「LINEがあるからクーポンを出す」のではなく、必要な場合だけ使うくらいでいいと思います。
ひとり治療院ではリッチメニューがかなり便利
私がLINE公式アカウントで特に気に入っているのが「リッチメニュー」です。
LINEのトーク画面下部に、大きなボタンのようなメニューを常時表示できます。
例えば私の治療院では、
- 症状について相談する
- Web予約
- 料金を見る
- 地図を見る
- ポイントカード
といったボタンを置くことができます。
患者さんがボタンを押せば、予約ページへ移動したり、チャットを開始したり、地図を表示したりできます。
小さなホームページをLINEのトーク画面の中に作るような感覚です。
しかもリッチメニューは無料プランでも利用できます。
リッチメニュー作成こそAIを使うと楽
最初はリッチメニューの画像を作るのが少し大変でした。
サイズを調べ、画像を作り、それぞれの場所にリンクを設定する必要があります。
ただ、現在はこういう作業こそAIを使うとかなり楽になりました。
「治療院向けにこの内容でリッチメニューを作りたい」と相談すれば、構成を考えてもらえますし、画像生成AIを使えばデザイン案を作ることもできます。
設定方法が分からない場合も、画面のスクリーンショットをAIに見せて「次はどこを押せばいい?」と聞けば、文章で状況を説明するより早いことがあります。
これはLINEに限らず、最近のWebサービスの設定ではかなり便利なAIの使い方だと思っています。
ただし、治療院で使う場合はスクリーンショットの中に患者さんの氏名や相談内容などが写り込まないよう注意が必要です。AIに画像を見せる場合は、個人を特定できる情報が含まれていないことを必ず確認した方がいいでしょう。
属性を絞ってメッセージを送ることもできる
LINE公式アカウントには、配信する相手を絞り込む機能もあります。
年齢、性別、地域などの属性を使って対象を絞ることができます。
ただし、これは患者さん自身が治療院に登録した個人情報を直接使うという意味ではなく、LINEの利用状況などから推定された「みなし属性」が使われます。
また、属性による絞り込み配信を利用するには一定数以上の友だちが必要です。現在はターゲットリーチ100人以上、さらに絞り込み後の推計対象ユーザーが50人以上必要となっています。
そのため、規模の小さな治療院では実際には使う機会が少ないかもしれません。私自身もほとんど使っていません。
開封率などを確認できるのも面白い
LINE公式アカウントには「分析」機能もあります。
メッセージを何人に配信したのか、どのくらい開封されたのか、リンクが何回クリックされたのか、動画を配信した場合には再生されたか、といった数字を見ることができます。
ブログやホームページでもアクセス解析はできますが、LINEでは「送った案内が実際にどの程度見られたか」を比較的簡単に確認できます。
一方で、送りすぎると当然ブロックされます。
これは自分自身の行動を考えてもよく分かります。お店のLINEに登録しても、宣伝が何度も届くようになると、私もブロックしてしまうことがあります。
治療院のLINEも同じです。
送れるから送るのではなく、患者さんにとって必要な情報だけを送ることが大切だと思います。
私は月1回程度の休診案内くらいが、今のところちょうどいいと感じています。
「LINE BLOG」と「LINE VOOM」は別物
LINEには以前「LINE BLOG」というブログサービスもありました。
こちらは2023年6月29日にサービスを終了しています。
一方、「LINE VOOM」という動画や投稿を配信できる機能は別のサービスで、2026年現在もLINE公式アカウントの機能として存在しています。
サービス名が似ているので混同しやすいところです。
LINEに限らず、Webサービスは数年で名称や機能が変更されたり、サービスそのものが終了したりします。Skypeの終了もそうですが、「一度設定したら終わり」ではなく、ときどき見直した方がいいでしょう。
私がLINE導入当初にやってしまった失敗
もちろん、便利だったことばかりではありません。
導入当初、私自身がLINE公式アカウントの扱いに慣れていませんでした。
あるとき患者さんからLINEで連絡が来ていたのですが、通知音に気づかず、何時間もそのままにしてしまいました。
これを何度かやってしまいました。
電話であれば着信音が鳴るので分かります。しかしLINEは、スマートフォンの通知設定や音量、端末の状態によって気づかないことがあります。
現在は、治療院のパソコンでLINE公式アカウントの管理画面を開いておき、スマートフォンだけに頼らず確認するようにしています。
ひとり治療院では、これはかなり重要です。
LINE予約を始めたのに返信が半日後では、患者さんにとってはかえって不便です。
LINEを予約窓口として使うのであれば、「いつ確認するか」まで含めて運用を決めておく必要があります。
LINE公式アカウントは「導入」より「運用」が大切
2年以上使ってみて感じるのは、LINE公式アカウントそのものはそれほど難しいものではないということです。
むしろ難しいのは運用です。
- どのくらいの頻度でメッセージを送るのか
- 予約の問い合わせにはどのくらいで返信するのか
- 電話予約とLINE予約をどう使い分けるのか
- 紙のポイントカードを残すのか
- リッチメニューに何を置くのか
このあたりを自分の治療院に合わせて決める必要があります。
ひとり治療院なら、まず無料で使ってみればいい
結局、ひとり治療院にLINE公式アカウントは必要なのでしょうか。
私は「必須ではないが、かなり導入する価値はある」と考えています。
特に、
- 施術中に電話へ出られないことが多い
- 患者さんからLINEで連絡したいと言われる
- 休診日などをまとめて案内したい
- Web予約への入口を分かりやすくしたい
- 紙のポイントカードを減らしたい
という治療院には向いています。
逆に、患者さんのほとんどが電話予約で困っておらず、こちらから一斉案内をする必要もないのであれば、無理に導入する必要はありません。
大切なのは「みんながLINEを使っているから導入する」ことではなく、自分の治療院の受付業務が実際に楽になるかどうかです。
無料プランでもチャット、リッチメニュー、ショップカード、クーポンなど多くの機能が使えます。
まず無料で始めて、必要な機能だけ少しずつ使っていく。
ひとり治療院には、そのくらいの始め方が一番合っているのではないかと思います。


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