東芝のワープロ「ルポ」が壊れてしまった。
ちょうど、ワープロとパソコンの値段が並び始めた頃のことだ。
私が手に入れた最初のパソコンは、HDDが800MB、メモリは16MB。
今思えば信じられないような性能だが、当時のソフトは軽く、それでもそこそこ動いてくれた。
最初は「インターネットをしてみたい」と思い、Niftyに入会。
ところが実際は「パソコン通信」というもので、いつまで経っても画像は出てこない。
「これがインターネット?」と首をかしげていたが、3ヶ月ほど経ってようやく違いに気づいた。
本当のインターネットには「ブラウザ」が必要だと知り、2000円で買ったのがNetscape Navigatorのバージョン2。
つないでみると、初めて「世界」につながった実感があった。
「shiatsu」と検索して出てきたのは、オランダ人の指圧師、Rian Visserさんのページ。
毎日数百アクセスがあるのを眺めては驚いた。
「自分も世界に発信しなければ」と決意し、ホームページ作りに挑戦することに。
ところが、パソコンがあればページが作れると思ったのは大間違い。
HTML言語が分からない。
本を3冊、5冊、やがて7冊と買い足し、半年ほど格闘した。
ようやく9割ほど形になったころ、IBMの方に「HTMLを手打ちしている」と話したら大笑いされた。
「ソースは気に入ったホームページから拝借すればいいのに」と。
――なるほど、その手があったか。
日本語ページは何とかできたが、問題は英語だった。
英語ができない私は困り果てたが、幸い仕事柄いろいろな人とのつながりがある。
毎日少しずつ翻訳をお願いし、ときには淀君の通訳をされた方にまで手を貸していただいた。
おかげで“ロイヤルイングリッシュ”の響きをまとった英文が整い、なんとか国際的なホームページが完成したのである。