冬眠のような時間と、月を愛でる心

BGMでは山根麻以さんの「やさしい気持ち」がよく流れています。
「ふつうの唄」はANAの機内でもかかっていたことがあるそうで、どちらも心にしみ入るようなやさしい音楽です。

山根さんは「冬眠します」とコラムに書いていたことがありました。
その言葉に、妙に共感してしまいます。私自身も、たまにはクマのように冬眠したいと思うことがあるのです。

私の実家は北海道にあります。
冬になると、父たちがブラブラしている…というよりも、まるで冬眠しているように見えたことがありました。雪に閉ざされる長い冬は、そうした時間を生み出すのかもしれません。

それに比べると、今の生活はなんと忙（せわ）しいのでしょう。
季節ごとの風習も薄れてしまいました。思えば、十五夜を月見として楽しんでいたのは昭和40年から42年くらいまでで、いつの間にか姿を消してしまったように思います。

月を愛でながら、ゆっくりとお酒を飲む。
そんな時間をもう一度取り戻したいものです。

東京は明るすぎて月見には向きません。けれど、この30年で空は確かにきれいになりました。最近は星がよく見えるようになり、少しだけ昔の風習を思い出させてくれる気がします。