耳が痛い=中耳炎と思われがちですが、
実は「耳そのもの」に炎症がなくても痛みを感じることがあります。
それが 単純性耳痛 と呼ばれる状態です。
顎関節と耳は“隣同士”の関係
耳のすぐ前には 顎関節(がくかんせつ) があります。
この関節を動かす咀嚼筋(そしゃくきん)――とくに側頭筋や咬筋――が
強く緊張すると、その筋肉の深部や付着部が耳の近くまで張りつめてきます。
その結果、
耳の周囲に「痛み」を感じるようになるのです。
実際には、耳ではなく 筋肉や神経の緊張 が原因というわけです。
なぜ顎のコリで耳が痛くなるのか
くいしばりや歯ぎしり、噛みしめ癖などで
側頭筋や咬筋が持続的に緊張すると、筋内の血流が悪化し、
痛みを伝える神経(耳介側頭神経や三叉神経) が刺激されます。
この神経は耳の感覚も担当しているため、
「耳が痛い」と感じてしまうのです。
鍼がよく効く理由
鍼治療では、この筋肉の深いコリ(トリガーポイント) に
正確に刺激を与え、筋線維の緊張をゆるめていきます。
とくに側頭部の硬結点(こりの芯)に
細い鍼を静かに入れることで、
血流が回復し、神経の過敏さも落ち着きます。
コリがほどけていくと、
耳の奥の圧迫感や鈍痛がすっと消えていくような
心地よさを感じる方も多いです。
鍼で整える「噛む力」と「耳のバランス」
顎の筋肉の緊張をゆるめることで、
噛み合わせのバランスや側頭部の血流も整い、
結果的に耳の痛み・詰まり感・こもり感が改善します。
単純性耳痛は、
薬や湿布では届きにくい「深いコリ」が原因のことが多く、
鍼治療が非常に効果的な分野です。
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中耳炎がなくても耳が痛い → 単純性耳痛の可能性
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原因はくいしばり・歯ぎしりなどによる筋肉のコリ
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鍼で筋緊張と神経の興奮を鎮め、自然な治癒を促す
「耳が痛いのに異常がない」とき、
その背後には“顎と筋肉の声”が隠れているかもしれません。
