私が卒業したのは、新宿にあった東洋鍼灸専門学校です。
正直にいえば、校舎は少々くたびれていて(失礼)、入学当初は「ここで大丈夫なのかな?」と不安に思ったことを覚えています。しかも図書館は学生には公開されておらず、なんとも閉ざされた印象でした。

そんな中、最初のマッサージの授業を担当してくださったのが水上明先生でした。初回の授業で先生はこう問いかけました。

「鍼とマッサージ、どちらが高級だと思いますか?」

学生一同が答えに迷っていると、先生は続けました。

「皆さん! 鍼が高級なのではなく、手が高級なのです。
だからこそ、しっかりとマッサージを勉強してください。」

この言葉は、入学したばかりで何も知らなかった私の心に強烈に刻まれました。今でも鮮明に思い出すほどです。


学びのスタイル

当時の東洋鍼灸専門学校のマッサージ科は、正直にいえば「教えてくれる」というより「見せてくれる」というスタイルでした。授業では一度だけ先生が手本を示し、あとは「自分で練習して身につけなさい」という雰囲気。

「技術は弟子入りして覚えるもの」――そんな言葉も耳にしました。
手取り足取り教えてくれるわけではなく、自分で工夫して体に覚え込ませる。まさに「ファイト!」と背中を押されるような日々だったのです。


出会いの意味

思えば、まったく知識も経験もないまま飛び込んだ学校でした。そんな私に最初に語りかけてくれた水上先生の「手が高級なのだ」という一言は、のちの私の進路や感覚のあり方に大きな影響を与えました。

「出会いの言葉が人をつくる」――そんなことを、今になってしみじみ感じています。

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