これまでAIといろいろ相談している中で、何度か「それはメモとして残しておいた方がいい」と言われることがありました。
そのたびにObsidianへ記録していたのですが、ある朝ふと思いました。
「そろそろ一度、Obsidian全体を整理した方がいいのではないか」
Obsidianを使い始めて、すでに半年以上。
Obsidianの良いところは、自由度が高いことです。きっちりフォルダ分けしなくても、とりあえずメモを残し、タグを付け、必要ならノート同士をリンクできます。Graph Viewを使えば、知識のつながりを視覚的に眺めることもできます。
最初から完璧に整理しなくても使える。この自由さが、私にはとても合っていました。
ところが、その自由さに甘えて半年以上使っていると、当然ながら少しずつ散らかってきます。
- タグがどんどん増える
- 似た名前のノートが増える
- Daily Noteの保存場所が途中で変わる
- 「とりあえず作ったメモ」が残る
- 何のために作ったのか分からないノートも出てくる
気がつけば、かなりゴミ箱化していました。
もちろん以前から「一度整理しないとな」とは思っていました。
ただ、300件近いノートを一つずつ開いて、「これはどこへ移動する?」「このタグは必要?」「これは重複?」「リンクは切れていない?」などと人力で確認することを考えると、まず挫折します。
そこで今朝、ふと思いつきました。
「これ、Codexにやらせられないのか?」
Codexはコードを書くためのAIというイメージが強かったのですが、Mac上のファイルを読み、複数ファイルを横断して調査・変更できる自律型のAIです。
ChatGPTに「ObsidianのVault整理をCodexに任せることはできる?」と聞いてみたところ、かなり相性が良いという話になりました。
ちょうど今日は休み。それなら一度やってみよう、と始めました。
軽い気持ちで始めたら6時間かかった
開始したのは朝9時ごろでした。
最初は「1〜2時間もあれば終わるかな」くらいに思っていました。
ところが実際には、かなり大がかりな作業になりました。
- Vault全体の調査
- タグの棚卸し
- Propertiesの整理
- Daily Noteの統一
- フォルダ整理
- Booksの分類
- 内部リンクの調査
- MOC作成
- 概念ノート作成
- 壊れたMarkdownの修復
- 最終監査
- Gitへの保存
終わったのは午後3時ごろ。
約6時間です。
AIを使えば一瞬で終わる、という話ではありませんでした。
ただし、人力だけで同じ作業をしようとしたら、おそらく途中で投げ出していたと思います。
最初にやったのは「削除」ではなく全体調査
いきなりCodexに「全部きれいにして」とは頼みませんでした。
まずは読み取り専用でVault全体を調査しました。
調べてもらったのは、次のような内容です。
- どんなフォルダがあるか
- Markdownはいくつあるか
- どんなタグが使われているか
- Propertiesがどうなっているか
- 重複ノートはないか
- Daily Noteがどこにあるか
- どのテーマのノートが多いか
ここで特に驚いたのがタグでした。
約455種類。
ただし、455個すべてが本当の意味での「タグ」だったわけではありません。
人名、書籍名、症状名、技法名、検索キーワード、ノートの種類、一時的な分類まで、何でもタグにしていたのです。
つまり、タグが分類だけでなく、検索、属性、関連付けの役割まで全部背負っていました。
これがVaultを複雑にしていた大きな原因でした。
タグ、キーワード、Properties、リンクの役割を分けた
今回、一番重要だったのは、それぞれの役割を明確にしたことでした。
tags
大きなテーマだけに限定しました。
最終的には30種類に整理しています。
- 臨床
- 鍼灸
- 指圧
- 触診
- 東洋医学
- クラニアル
- バイオダイナミクス
- 発生学
- 医療史
- AI
- Obsidian
- Web
- SEO
- FX
- EA
このほか専門領域を含め、正式なfrontmatterタグを合計30種類に固定しました。
keywords
細かい検索語はこちらへ回します。
ただし、本文中にその言葉がすでに書かれている場合は、無理にkeywordsへ重複登録しません。Obsidianの検索で十分に見つけられるからです。
type
これはノートの種類です。
- daily
- clinical
- case
- research
- book-note
- translation
- source
- project
- template
- blog
内部リンク
ノート同士の具体的な関係を表します。
MOC
テーマ全体への入口です。
この役割分担を決めたことで、Vaultの考え方がかなり明確になりました。
タグ455種類を30種類まで整理
AIに任せたからといって、単純に古いタグを削除したわけではありません。
例えば、「クラニオ」「クラニオセイクラル」などは「クラニアル」へ統合。「バイオダイナミック」は「バイオダイナミクス」へ統合しました。
一方、細かい専門用語については、本文に残っているなら検索に任せ、本文に存在しないが検索価値がある場合だけkeywordsへ移しました。
最終的に、frontmatterで正式に使用するタグは30種類になりました。
なお、昔のメモや原資料の本文中に書かれた「#症例報告」のようなインラインタグまで全部削除したわけではありません。
正式な分類タグはfrontmatterの30種類。
本文中の「#語」は原資料や過去メモとして残す、という運用にしました。
Vault直下のノートを54件から0件へ
次に行ったのが、Vault直下に散らばっていたノートの整理です。
最初は54件のMarkdownファイルが直下にありました。
AIに内容を読ませて、FX、EA、Web、臨床、理論、Books、Projects、Inboxなど、既存フォルダへ移動しました。
最終的には、Vault直下のMarkdownは0件になりました。
ここでも、むやみに新しいフォルダを増やさないことを重視しました。
既存の大きなフォルダを維持し、細かい分類はタグや内部リンクで行う方針です。
Daily Noteも一本化した
Daily Noteも少し混乱していました。
過去にはVault直下、`09_Daily`、`11_Dailynotes`など、複数の場所にDailyが存在していました。
これを`09_Daily`へ一本化しました。
テンプレートも`08_Templates/Template&DB/Daily_Template.md`へ統一。
今はDailyを作れば、自動的に`09_Daily`へ保存されるようになっています。
Booksは「書籍単位」で整理
書籍関連のメモもかなりありました。
- クラニオセイクラル
- ブレヒシュミット発生学
- 霊的治療
- 動物磁気
- バイブレーションメディスン
- 手かざし
- SMC教材
ここでは単純なテーマ別ではなく、元になった書籍単位で整理しました。
例えば、`Books/BlechschmidtBiokinetics`や`Books/霊的治療の解明`といった形です。
さらにPropertiesへbook、author、chapter、typeなどを設定しました。
これによって、「どの本の何章なのか」「原資料なのか、翻訳なのか、研究整理なのか」が判別しやすくなりました。
Obsidianで本当に重要なのはリンクだった
今回、一番考え方が変わったところです。
以前は、タグを増やせばGraph Viewで知識がつながるようなイメージを持っていました。
実際には、それだけではありませんでした。
AIに調査してもらうと、Wikiリンクの記述自体は数千ありました。
しかし、実在するノート同士できちんと解決しているリンクはかなり少ない状態でした。
さらに、「命の息吹」「ポーテンシー」「自律神経」「触診」といった概念へのリンクが大量に書かれているのに、その名前のノート自体が存在していないケースもありました。
そこで、重要な概念について軽量な「概念ハブ」を作りました。
- 命の息吹
- ポーテンシー
- 脳脊髄液
- ミッド・タイド
- ロング・タイド
- CRI
- 自律神経
- 身体感覚
- 触診
- 経絡
- 経筋
- 治神
- 指圧
例えば`[[命の息吹]]`というリンクが多数存在していた場合、`命の息吹.md`を1つ作るだけで、それまで宙に浮いていたリンクが一気につながります。
これはかなり面白い変化でした。
MOCを6つ作った
知識全体への入口として、MOCも作りました。
- 臨床・鍼灸・身体技法
- クラニアル・発生学・身体論
- 医療史・治癒思想
- AI・Obsidian・Web運用
- FX・EA開発
- 書籍・原資料
MOCに全ノートを並べることはしていません。
MOC
↓
概念ハブ
↓
個別ノート
という構造を基本にしました。
例えば、
クラニアル・発生学・身体論 MOC
↓
命の息吹
↓
書籍の章
↓
研究ノート
という具合です。
この構造にしてから、Graph Viewの線にも少しずつ意味が出てきました。
孤立ノートをゼロにはしなかった
AIで整理していると、「孤立ノートがまだ100件以上あります」という数字が出てきます。
最初は全部つなげたくなります。
しかし、途中でこれはやめました。
孤立していて問題ないノートも多いからです。
- Daily
- Template
- Archive
- Booksの個別章
- OCR原資料
- 単発のトレード記録
- 一時メモ
こうしたノートまで無理につなぐ必要はありません。
最終的には、
「重要なノートには意味のある経路があればよい」
と考えるようになりました。
AI整理で怖かったのは本文が変わること
今回、AIにかなり多くのファイル操作を任せました。
そのため、安全確認としてSHA-256を頻繁に使いました。
移動前後やProperties変更前後で、本文のハッシュが同じか確認します。
これによって、「ファイルは整理されたが、本文そのものは変わっていない」ことを確認できます。
最終的には、次の状態まで確認しました。
- Vault直下Markdown:0
- 正式frontmatterタグ:30種類
- YAMLエラー:0
- Property重複:0
- 非標準type:0
- MOCの未解決リンク:0
- MOCの曖昧リンク:0
- 主要概念のalias競合:0
- 高確度のリンクエラー:0
最後にはGitにもコミットしました。
これで、今後何かおかしくなった場合にも、整理完了時点を基準に比較できます。
AIを使えば自動で全部うまくいくわけではなかった
今回やってみて分かったのは、AIに「整理して」とだけ頼むのは危険ということです。
一気に自動整理させるのではなく、次のように進めました。
- まず読み取り専用で調査する
- 人間が方針を決める
- 小さい単位でAIに実行させる
- ハッシュやリンクを検査する
- 問題なければ次へ進む
途中では、ノート全体がコードブロックに入っていたり、frontmatterがMarkdownとして認識されていないファイルも見つかりました。
AIがこうした異常まで調査してくれるのは非常に便利です。
しかし逆に、「全部自動で直して」と頼めば、本来必要なコードまで壊す可能性があります。
AIには判断範囲を明確に指定する。
これがかなり重要だと感じました。
AIでも6時間かかった。でも人力なら挫折していた
今回の作業は、朝9時から午後3時ごろまで、ほぼ6時間かかりました。
「AIなのに6時間も?」と思うかもしれません。
ただし、300件規模のノートを人力で調べ、タグ455種類を整理し、Propertiesを統一し、リンクを調べ、MOCを作り、壊れたMarkdownを修復し、安全確認まで行うことを考えると、私はまず最後までやれなかったと思います。
今回感じたのは、
AIは作業そのものを高速化してくれるが、「どう整理するか」を決めるのは人間。
ということでした。
Codexは300件のノートを一気に調査できます。
しかし、「タグとは何なのか」「検索語とは何なのか」「どのノートを残すのか」「何をMOCにするのか」「孤立ノートを全部つなぐ必要があるのか」といった判断は、その都度ChatGPTと相談しながら決めました。
AIに丸投げしたというより、AIに作業を任せ、人間が設計を決めたという方が実態に近いです。
今後は「整理」ではなく「入力」に戻る
ここまで整理したので、もう毎回Propertiesを自分で入力するつもりはありません。
今後の運用はかなり単純にする予定です。
iPhone
思いついたことをObsidianへ直接音声入力。
日記ならDailyへ。
それ以外の、あとで育てたいメモは`00_Inbox`へ入れます。
MacBook Air
後からCodexにInboxを見てもらいます。
例えば、次のような指示で十分だと考えています。
00_Inboxの新規メモを整理してください。音声入力の誤変換を直し、意味は変えずに文章を整える。既存Vaultルールに従い、適切なフォルダ、type、tags、keywords、既存概念リンクを設定。新しいタグは作らない。
つまり、
iPhone
↓
Obsidianへ音声入力
↓
00_Inbox
↓
MacBook Air
↓
Codexが整理
という流れです。
これなら、メモを書く瞬間に「タグは何だろう」「Propertyは何を付けよう」「どのフォルダだろう」と考えなくて済みます。
まとめ
今回の整理は、最初は単に「散らかったObsidianをAIに整理してもらおう」という程度の話でした。
しかし実際にやってみると、単なるファイル整理ではありませんでした。
最終的に整理できたのは、自分が知識をどう分類し、どう検索し、どうつなげるかというルールそのものでした。
特に大きかったのは、タグですべてを管理しようとしなくなったことです。
フォルダ
=大まかな置き場所
tags
=大きなテーマ
keywords
=細かい検索語
type
=ノートの種類
内部リンク
=具体的な知識の関係
MOC
=知識への入口
こうして役割を分ければ、メモが増えても以前ほど混乱しないはずです。
そして何より、
整理するためにObsidianを使うのではなく、考えたことを残すためにObsidianを使う。
そこへ戻れたことが、今回一番大きな成果だったと思います。


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