
顎関節症そのものを理由に来院される方は実は多くありません。
ところが、肩こりや首のこり、頭痛などの背景を探っていくと「顎関節」が原因になっているケースはとても多いのです。
肩こりのうち約3分の1は顎関節に由来するといわれています。残りの3分の1は眼精疲労、そして体質的なものや生活習慣などが関わっています。
顎関節症の定義
日本顎関節学会では、顎関節症を次のように定義しています。
「顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靱帯障害、関節円盤障害、変形性関節症などが含まれている」
つまり単なる「顎の不調」ではなく、複合的な筋肉や関節の問題を含んだ慢性的な疾患群とされています。
顎関節症の主な症状
1.顎の痛み
口の開閉や咀嚼時に、関節や頬・こめかみに痛みが出るのが特徴です。
2.開口障害(口が開かない)
健康な状態では縦に指が3本(40~50mm)入りますが、2本(30mm程度)あるいはそれ以下しか開かない場合は要注意。急に開かなくなる場合と、徐々に動きが悪くなる場合があります。
3.関節雑音(カクカク音)
耳の前あたりで「あごを動かすと音がする」というケースです。
併発しやすい症状
顎の不調は、全身に影響を及ぼします。
特に多いのは肩こり・首こり。
さらに、頭痛・背中や腰の痛み・耳の痛み・耳鳴り・めまい・眼精疲労といった症状まで広がることがあります。
一般的な治療法
顎関節症の相談・治療は口腔外科や矯正歯科が中心です。
治療には以下の方法がとられます。
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原因除去
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薬物療法
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保存療法
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非観血的療法
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観血的療法
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理学療法
鍼灸から見た顎関節症
鍼灸では、顎関節の動きを支える咀嚼筋や首・肩の緊張を和らげることで、症状の軽減を図ります。
特に以下のような方に適しています。
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肩こりがなかなか取れない
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口の開閉が重く、顎に負担を感じる
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首・肩と目の疲れが同時にある
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耳鳴りやめまいと顎の不調が重なる
顎関節周囲だけでなく、首・肩・背中の経絡や筋肉を含めて全体を整えることで、顎にかかる負担を軽くするのが鍼灸の特徴です。
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顎関節症は、顎そのものの問題にとどまらず、肩こりや頭痛、耳や目の不調など全身に影響を及ぼすことが少なくありません。
「肩こりが長引く」「ストレッチをしても改善しない」という方は、実は顎関節が隠れた原因かもしれません。
鍼灸では、顎関節そのものと、その周辺の緊張・体質・生活習慣を含めた全体のバランスを整えていきます。
👉 ご自身の肩こりや首のこりが「実は顎から来ているのかも」と思われた方は、どうぞ一度ご相談ください。