気響会・気功療法体験記

この記録は、友人のお弟子さんを預かったことがあります。元々は、指圧などの手技を教えたのですが、こちらは見事才能がないのですが、気的感覚が抜群なことに気が付きました。

半年以上教え、気的感覚がかなり伸び、教えることがなくなりました。卒業旅行のような形で向ヶ丘遊園にある片山洋次郎先生の気功を体験しに行きました。
その時提出していただいたレポートです。2002年あたりの出来事だったと思います。

アメブロにアップしていたのですが、システムが変わるようで、見られなくなる前に、こちらのドメインで記録を残そうと思いました。

彼はこの後、ぐんぐん伸びて、手当だけで施術できるようになりました。

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11月4日秋晴れ、今年最後の3連休の最終日、川崎の片山洋次郎先生の主宰する「気響会」に気功治療の体験に出掛けた。
3ヶ月もの間、鍼・灸・マッサージ・気功など教えて頂いた長沼良和先生から「卒業に際して修学旅行として片山先生の治療を体験してみては…」と言って頂き、長沼先生以外の気功を是非体験してみたい、自分が取り入れている気功治療との違いを体験してみたいと僕も思い、片山先生の予約を取って頂いた。

前日の夜から少し緊張していたが、当日の快晴の空を見て肩の力が少しばかり抜けた気がした。11時の予約に合わせ長沼先生と10時に待ち合わせをして長沼先生に同行して頂いて「気響会」へ向かった。

普通の一軒家の一室を治療室になさっている部屋に入って片山先生を見た瞬間、さすがに体全体に緊張が走ったが、自分とは対照的に片山先生はとてもリラックスなさっているように見えた。穏やかな笑顔が印象的だった。

部屋の中央の布団に案内され、座位で気功治療は始まった。背中へのファーストタッチで自分の気がスーと流れる感じがした。先生の手は、肩甲間部から両肩、後頚部から頭頂、肩甲間部から腰部へとゆっくりでしかも今まで体験したことがない不思議な感触で動いていった。

先生の指が触れてはいないが、中指と示指の2本の指がそっと触れている感じだったが、見ていた長沼先生に後からお聞きしてみると肌から数センチ離れたところでゆっくり円を描いているとのことだった。
もちろん触れるべき箇所(自覚がない悪い箇所)には指や手掌が導かれるように動き、そしてそっと触れていた。片山先生によると僕の体は頚椎の2番と腰椎の4番が悪いとのことで、気的には集中し過ぎで見境がなくなる、頭に気が上りすぎるとのことであった。

最初は頚椎から胸椎と先生の指が動くとむず痒いような嫌な感じがしたが、先生の手が僕の上肢に移動するとその嫌な感じがなくなった。そして、肘窩横紋外方の上2センチ程、丁度「曲池穴」の上1寸に先生の指が触れると後頚部がほんわかとしてきた。ここは頚椎2番周囲が緩むとのことだった。

僕は特に左側が暖まった。片山先生は「自分でも出来るから」とやり方を教えて頂いた。自分の右手の中指で先程の箇所と丁度その反対の内側を拇指で軽く押さえてゆっくり内側へ少しひねった後更にゆっくり元に戻す。自分でやっても、先程片山先生にして頂いたような暖まる感じがしてきて、徐々に後頚部全体そして両肩へ暖まる感じと緩む感じが広がっていった。

次に伏臥位になり、腰部と下肢への治療が始まった。腰椎の4番が悪いのは骨盤の上部が開き、骨盤下部の尾骨周辺が緊張して閉まっているからだそうで、両下肢の外側(胆経)が張っていることからもわかるとの説明があった。

今まで下腿中央(膀胱経)が張っているのは自覚があったが、外側の張りは自覚がなかっただけに少し驚いた。確かに片山先生が軽触れただけで痛みがあり、今まで体験したことのある手技療法の張っている箇所を押される痛みとは違っていた。

仰臥位になって、内果の内側の丁度「大谿穴」を軽く触れると「ここは両下肢の外側を緩めるよ」と教えて頂きながら治療は進んだ。

さらに片山先生は大腿前側膝蓋骨内角と外角の上3センチ、内側は「血海穴」のやや内、外側は「梁丘穴」のやや外を拇指と中指で同時に押さえながら、最初は外に捻りゆっくり元に戻し、次に内に捻りゆっくり元に戻された。ここは尾骨周辺の緊張を緩めるとのことで、「自分でもやった方がいいよ」とのアドバイスも頂いた。
下肢を投げ出した姿勢のせいか腸腰筋が吊る感じがして「椅子か何かに腰掛けながらするといいよ」とさらにアドバイスを頂いた。

片山先生は僕の性格的なアドバイスもして下さり、僕は人より集中力があるとのことだがどうやらそれがあまり良くないらしい。
それは人一倍抑制力があるので、その抑制が一度効かなくなると集中し過ぎて周囲が見えなくなってしまう、とのこと。
思い当たることが頭をよぎる。高校生の頃、兄と喧嘩して部屋のドアを蹴破ったことを思い出した。恥ずかしい。
さらに続いた。将来開業するだろう(人に使われるタイプではない、親分タイプらしい)が、その時に患者に入り込みやすいので気を付けた方がよいとのことであった。高校や鍼灸学校の友達にも家族にも言われたことであった。
「あんたは人が良いから気を付けなさい」と両親からは耳にタコができるほど聞かされていた。
けれども、この仕事に就く時に「患者を信じていこう」と考えていただけに、患者との関わり方については少し考えた方が良いようだ。
ただ片山先生からは「もう少し年を取ったらいい治療家になるよ」と言って頂いて、とても嬉しかった。

最後は座位に戻って頭頂部「百会穴」の治療。片山先生によると僕は「百会穴」を常に開かせないといけないそうだ。「百会穴」が閉じると尾骨周辺が緊張し、集中し過ぎる(暴走しやすくなる)らしい。
「百会穴」から気がスーと抜ける感じがする。心地よい。全身の気が巡る感じがする。

「舌を下に丸めると「百会穴」が開き、硬口蓋に舌を付けると「百会穴」が閉じるよ。君は無意識で舌が硬口蓋に付いてしまう癖があるから気を付けて」とアドバイスを頂いた。さらに「「百会穴」が閉じると無呼吸になるから、人を治療する時には深呼吸して呼吸をゆっくりできるようになってから始めたら」と仕事に即したアドバイスも頂いた。

確かに僕は集中すると呼吸が止まる癖があって、平田先生や長沼先生にも指摘されたが、今まで直し方がわからなかったので大変参考になった。

片山先生の気功治療を受けてみて最も感じたのは、自分の気が通るということを感じられたことだ。
体が悪い(緊張している)所は気も滞り、気が巡ると暖かく感じる。

また、気が抜けなければいけない所が閉じると暑い感じがし、気が丁度良く抜けると心地よい涼しい感じがする。
僕は頚椎2番周囲、腰椎4番周囲、尾骨周辺は暖かくなり、「百会穴」周囲は涼しくなった。
この暖まる感じと涼しくなる感じは、自分が取り入れている気功治療で僕が患者に伝えているものと近く、今まで自分の患者に伝えていた感じが正しいかどうかの不安を払拭するものだった。
今まで体験したことのない患者側での気功治療体験は、患者側の感覚を自分で感じ、体験できたことが大変参考になり、少し自信が付いた(もちろんそれに奢ってはいけないが)。

また、片山先生の気功治療における触れる箇所は、実体験に基づく反射を応用したものではと感じたが、一方で経絡的な遠隔治療法も取り入れているような感じがした。

これは、自分が行っている気功治療では、ある時は患者の悪い箇所が黒っぽく見えたり、僕の手が留まる箇所を主に悪い箇所と判断し、その箇所に気を通す為に直接その箇所に手をかざすか、両肢の末梢(井穴)からその箇所を狙う為に軽く指で押さえるかであったが、片山先生のように治療例が増えてくれば患者に合った様々なアプローチ法ができることを改めて知ることができた。
弛まぬ探求心と日々勉強しているであろう片山先生に敬服した。

自分を戒めることが僕にはもっと必要だ。
また、今まで「臍下丹田」を感じることができないでいたが、「ここが丹田か」と初めて感じ、また「丹田」に気が集まるということも体験できたのは、とても嬉しかった。

「丹田」に気が集まると充実感でやる気が起きるのだ。この感じは決して忘れてはいけないと思った。
長沼先生の治療院へ向かった車の中では、長沼先生との会話が弾んだ。

長沼先生は「見るのも勉強になるんだよ」と言って頂いた。
また、「多分この感じは2~3日続くよ」と嬉しいことも言って頂いた。とにかく体が軽い。
特に頭がすっきりしている。
まるで今日の空のように一点の曇りもない。こんな感じは初めてだ。

長沼先生をお送りしてから家までのドライブが楽しかった。
このような気功治療の体験をさせて下さった片山先生、御紹介して頂いた長沼先生、気功治療の献体になって頂いた若生先生、長沼先生を紹介して頂いた平田先生に感謝し、この体験をこれからの僕の治療家としての人生に反映させたいと思う。