治療院の500円引きクーポンはなぜ効いたのか|初回来院のハードルを下げる小さな仕掛け

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前回は、治療院のチラシは情報を詰め込みすぎず、作る側ではなく読む側の気持ちで考えることが大切だという話を書きました。

今回は、その中でも実際に反応があった小さな工夫について書きます。

それが、

「初回500円引きクーポン」

です。

今考えると、それほど大きな値引きではありません。

それでも、このクーポンを付けたチラシを治療院の前に置いておくと、実際に持って来院してくれる人が何人もいました。もちろん全て通りすがりの初めての人。

私はこの経験から、クーポンというものは単なる値下げではなく、

「知らない治療院へ初めて入る理由を一つ作るもの」

なのだと考えるようになりました。

きっかけは本に書いてあった小さなヒントだった

新宿でチラシを作っていた頃、私は広告関係のホームページだけでなく、商売や成功法則について書かれた本などもいろいろ読んでいました。

その中で、今でも覚えているヒントがあります。

チラシの一部を点線で囲んで、

「クーポン」

と書いてみるというものでした。

点線で囲まれていると、そこだけ切り取れるように見えます。

ただ文字で「500円引き」と書くよりも、

「これは使えるものだ」

と認識しやすくなる。

そんな考え方だったと思います。

私は、

「これは簡単だし、やってみよう」

と思い、実際に自分のチラシにも取り入れてみました。

「初回500円引き」にした

私が作ったのは、初回の患者さん向けの500円引きクーポンでした。

大幅な値引きではありません。

半額でもありません。

無料でもありません。

あくまで、

「初めての人が一度試してみるための、小さなきっかけ」

という位置づけでした。

私自身、あまり大きく値下げして集客する考えはありませんでした。

なぜなら、治療院の場合、本当に重要なのは最初の値段ではなく、その後だからです。

一回来てもらった後に、

「また来てもいいな」

と思ってもらえるか。

そこからが本当の仕事です。

目的は安売りではなく「最初の一歩」だった

初めて治療院へ行く時は、患者さんにも不安があります。

どんな先生なのか。

施術は自分に合うのか。

店の雰囲気はどうなのか。

清潔なのか。

ちゃんと話を聞いてくれるのか。

料金に見合うのか。

こうしたことは、チラシやホームページを見ただけでは完全には分かりません。

だから、最初の一回には少し心理的なハードルがあります。

そこに、

「初回500円引き」

という小さな理由があると、

「それなら一度行ってみようかな」

と思う人が出てきます。

500円そのものよりも、来院するための理由を一つ作ることに意味があったのだと思います。

治療院の前にチラシを置いておいた

このクーポン付きチラシは、ポスティングだけで使ったわけではありません。

治療院の前にも置いていました。

道を歩いている人が、

「何だろう」

と思って手に取れるようにしておきました。

すると、実際にそのチラシを持って来院する人が何人もいました。

チラシを持って受付に来て、

「これ、使えますか?」

という形です。

その時に、

「本当にクーポンを切り取って持ってくる人がいるんだ」

と実感しました。

紙を持って来てもらうことで、反応が分かった

クーポンには、もう一つ大きな意味がありました。

患者さんがチラシを持って来てくれると、

「この人はチラシを見て来た」

と分かります。

これは非常に単純なことですが、紙の広告では大切です。

ホームページならアクセス解析があります。

Web広告ならクリック数などが分かります。

現在なら、どのページから予約されたのかも計測できます。

しかし紙のチラシの場合、そのままでは何人が見て、何人が行動したのか分かりません。

そこで、クーポンを持参してもらうことで、

「この患者さんはこのチラシ経由」

と確認できました。

今の言葉を使えば、非常に原始的なコンバージョントラッキングです。

クーポンを付けると「取っておく理由」もできる

もう一つ面白いのは、クーポンが付いていると、チラシをすぐ捨てずに取っておく理由にもなることです。

普通のチラシなら、

「今は必要ない」

と思った時点で捨てられるかもしれません。

しかし、

「初回500円引き」

と書いてあれば、

「今は使わないけれど、何かあった時のために取っておこう」

と思う人もいます。

実際、チラシというのは配った直後だけに反応が出るものではありません。

何週間後、何か月後に連絡してくる人もいました。

そう考えると、クーポンは、

  • 目に止まりやすくする
  • 最初の来院理由を作る
  • チラシを取っておく理由を作る
  • チラシ経由の来院を確認する

という、いくつかの役割を持っていたことになります。

500円という金額がちょうどよかった

なぜ500円だったのか。

正直に言えば、厳密な計算をして決めたわけではありません。

ただ、大きすぎず、小さすぎず、初回のきっかけとして使いやすい金額でした。

例えば半額にすると、値段そのものを目的にする人が増える可能性があります。

無料にすれば、さらにその傾向が強くなるかもしれません。

私は、安さだけで選んでもらいたいわけではありませんでした。

最初の一回だけ、少し入り口を低くする。

そのくらいがちょうどよかったのだと思います。

一回来てもらったら、そこからは施術の仕事

クーポンで来院してもらった後は、広告の仕事ではありません。

そこから先は、施術者の仕事です。

私はいつも、

「ここからが腕の見せどころだ」

と思っていました。

どれだけ広告が上手でも、患者さんが一度来ただけで終われば、治療院経営は安定しません。

話をきちんと聞く。

必要な施術をする。

説明する。

安心して帰ってもらう。

そして、必要があればまた来てもらう。

チラシやクーポンができるのは、入口までです。

その先を作るのは、治療院そのものです。

新規患者さんばかり追いかけても続かない

治療院を運営していると、新規患者さんの数はどうしても気になります。

今月は何人来た。

先月より増えた。

広告から何人来た。

こういう数字に目が行きます。

しかし、新しい人がどんどん来ても、一度きりで終わってしまえば、常に新規患者さんを集め続けなければなりません。

それではだんだん苦しくなります。

ですから、クーポンの役割は、

新規患者さんを安く集め続けることではなく、一度会う機会を作ること

だと私は考えていました。

値引きを大きくしすぎると、別の問題も出てくる

クーポンには便利な面がありますが、値引きを大きくしすぎればいいわけではありません。

安さだけを前面に出すと、

「安いから行く」

という理由が強くなります。

すると、通常料金に戻った時に来なくなる可能性もあります。

また、既存の患者さんとの料金差をどう考えるかという問題もあります。

ですから私は、クーポンはあくまで小さなきっかけとして使う方が合っていると思います。

特に治療院は、価格競争だけで長く続ける仕事ではありません。

クーポンを使うなら、効果を記録した方がいい

もし現在クーポンを使うのであれば、ただ配るだけではもったいないと思います。

少なくとも、

  • 何枚配ったか
  • どの地域に配ったか
  • 何枚持参されたか
  • 何件の予約につながったか
  • その後再来したか

くらいは記録しておくと、後で役に立ちます。

例えば100枚配って1人来たのか。

1,000枚配って1人なのか。

同じクーポンでも意味がまったく違います。

また、新規患者さんが何人来たかだけでなく、

その後また来てくれたか

まで見た方が、本当の効果が分かります。

現在なら紙のクーポン以外にも方法がある

当時は、点線で囲んだ紙のクーポンを持って来てもらう方法でした。

現在なら、もっといろいろな方法があります。

例えば、

  • チラシ専用のQRコードを作る
  • チラシ専用ページへ誘導する
  • 予約時に「チラシを見た」と伝えてもらう
  • LINE登録後に案内を送る

などです。

紙とデジタルを組み合わせれば、昔より反応を追いやすくなっています。

ただ、考え方そのものは変わりません。

「この広告を見た人が、次に何をすればいいのか」

を分かりやすくすることです。

クーポンは「値引き券」ではなく行動のきっかけ

私が500円引きクーポンを使って分かったのは、金額そのものだけが重要なのではないということです。

点線で囲む。

「クーポン」と書く。

初回限定にする。

持って来てもらう。

それだけで、普通の文章とは少し違う役割を持ちます。

患者さんにとっては、

「一度行ってみる理由」

になります。

治療院側にとっては、

「どの広告から来たのか確認する方法」

になります。

クーポンは、値引きそのものより、人に一歩動いてもらうための仕掛けだった。

今振り返ると、そこが一番大きかったと思います。

現在の治療院広告では、昔のやり方をそのまま使わない

ここで一つ注意があります。

この記事は、私が過去に実際に使っていたチラシとクーポンについて振り返ったものです。

現在の鍼灸・あん摩マッサージ指圧などの広告には、広告表現やキャンペーン表示などについて確認すべきルールがあります。

昔うまくいった方法だからといって、現在そのまま同じ表現や条件を使えるとは限りません。

実際に広告やクーポンを作る場合は、現在の法令やガイドライン、施術所所在地を管轄する自治体などの案内を確認する必要があります。

チラシは来院まで、その先は治療院の力

チラシを1万枚配る。

何度も作り直す。

タイトルを工夫する。

クーポンを付ける。

こうした集客方法はいろいろあります。

しかし、どれも患者さんを治療院の入口まで連れてくるための方法です。

本当に大切なのは、その後です。

一度来てくれた人が、

「来てよかった」

と思ってくれるか。

また必要な時に思い出してくれるか。

誰かに紹介してくれるか。

ここは広告では作れません。

だから私は、500円引きクーポンを使いながらも、

「来てもらうまではチラシの仕事。来てもらってからは自分の仕事」

と考えていました。

次回|新規患者さんからリピーターへ。ハガキからLINEへ変わった患者フォロー

チラシやクーポンで新しい患者さんが来ても、それだけでは治療院は安定しません。

次に必要になるのが、その後のつながりです。

以前の私は、誕生日にハガキを送ったり、治療院の新聞のようなものを郵送したりしていました。

しかし、個人情報への意識や生活環境が変わり、そうした方法はだんだん使いにくくなっていきました。

現在は、その役割の多くをLINEが担っています。

次回は、新規患者さんを集める時代から、患者さんとの関係をどう続けるかという話を書いてみます。

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