どんなふうに患者さんにアプローチしているか ― 鍼灸・あん摩マッサージ指圧の視点から

私は、まず「関節のつまり具合」を足もとから見ていくことが多いです。
どこが動きづらくて、どこに遊びが残っているのか。からだの入口は、足もとから、というイメージです。

指圧というのは、本来「診断即治療」の世界です。
触れた瞬間から、すでに診断が始まり、そのまま按摩指圧の手技が治療となっていきます。
ここが、いわゆる「鍼だけを打つ」スタイルの治療院とは少し違うところかもしれません。

評価は、玄関を入ってこられた瞬間から始まります。
ドアを開けて一歩目を踏み出したときの歩き方、足音のリズム、声のトーン、姿勢のクセ…。
それらをまず、ざっくりと全体として眺めます。

そのうえで、問診に入ります。
主訴は何か、どんな生活のリズムで過ごしているのか、これまでどんな経過をたどってきたのか。
言葉で伺いながら、さきほど見えた「からだの印象」と頭の中で重ねていきます。

次に、関節まわりの「遊び」と「詰まり具合」を、実際に触って確かめます。
・この関節はどこまでスムーズに動くのか
・どの角度で引っかかるのか
そういった情報を、拾っていきます。

同時に、皮膚や筋肉の弾力も大事な手がかりです。
・全体として張っているのか、力が抜けすぎているのか
・部分的に冷えが強いのか、逆にほてっているのか
・触れたときに「はね返ってくる感じ」はどうか
こうした細かい手ごたえを集めながら、「今日はここからほどいていこうか」と施術の組み立てをしていきます。

私のスタイルは、いわば「按摩+鍼」。
東洋医学の言葉でいえば、「こり」や「つまり」といった滞りを、
あん摩・指圧と鍼を組み合わせて、少しずつ疎通させていく方法です。

もちろん、その日のからだには「今日はここまで」という上限があります。
無理やり一気に変えようとするのではなくカラダが変化を消化していくのにだいたい3日くらいはかかる、と私は感じてています。

ですので、次にいらしたときには、
「前回から何が変わったか」「どこがまだ残っているのか」を、もう一度見直します。
関節や筋肉の触診で確認しながら手を入れるポイントや、刺激の強さ・深さを微調整していきます。

そんなふうに
その日その日の「からだの声」に耳を傾けながら、
あん摩・指圧と鍼灸を組み合わせて、少しずつ通り道をひらいていく。

それが、私なりの患者さんへのアプローチの仕方です。

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