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久しぶりに面白い本に出逢いました。
以前から書庫に眠っていたのですが、なぜか手を伸ばせずにいた本です。今日ふと読みはじめ、ようやく「こちらの準備が整った」ことに気づかされました。
その本は、傳田光洋先生の『皮膚は考える』。
皮膚を単なる外殻ではなく、感覚や免疫、情報処理の場として捉え直す名著です。
読み進めるうちに、金沢大学医学部病理学教授であった**石川太刀雄先生の「内臓-体壁反射学説」**が頭に浮かびました。皮膚と内臓が互いに影響し合うという考えは、鍼灸に携わる者にとってとても馴染み深いものです。
さらに印象的だったのは、TRPV受容体の説明。
温度や痛みを感知するこの受容体の働きを知ることで、温灸と焦灼灸の分け方、そしてそれを感じ取る「術者の手のひら」の役割が、現代科学の言葉で説明できるのではないかと思ったのです。
結局のところ、
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皮膚はTRPVを通じて熱や刺激を「考える」
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その情報が内臓-体壁反射を介して全身に影響を与える
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そして術者の手のひらもまた、皮膚と共鳴しながら「考える」
そんなふうに繋がって見えました。
本に出会うタイミングとは不思議なものです。
いまの自分の臨床や関心と響き合う瞬間に、本は新しい表情を見せてくれるのだと感じました。